アリババ、自社製AI GPUの量産を開始
アリババのチップ設計子会社であるT-Headは、自社開発したグラフィック処理ユニット(GPU)の量産を開始した。同社は、このチップが大規模モデルの集中的な訓練から、ファインチューニングや推論といった大量の作業まで、あらゆるAIワークロードに対応できるよう設計されていると発表した。この新しいハードウェアは、主流のAIフレームワークと互換性があり、アリババの長期的なコンピューティング供給を強化する。
この開発は、アリババが垂直統合型AIスタックを構築する戦略の要石である。同社は独自のGPUをQianwen大規模言語モデルとクラウドコンピューティングインフラストラクチャと組み合わせることで、高性能かつ費用対効果の高いAIサービスの提供を目指している。この動きは、技術的自給自足に向けた重要な一歩を示しており、外国のチップサプライヤーへの依存を減らし、急速に成長するクラウド事業を地政学的なサプライチェーンリスクから保護する。
自社製チップがエヌビディアの90%市場シェアを脅かす
アリババのシリコン独立への動きは、エヌビディアの市場支配力に対する広範な業界の反発の一部である。米国の輸出規制が中国国内のチップ開発努力を加速させる一方で、エヌビディアの最大手の米国顧客でさえ、独自の代替品を構築している。グーグル、マイクロソフト、メタを含むテクノロジー大手は、このチップメーカーがAIハードウェア市場で推定90%のシェアを占めることに挑戦するため、数十億ドルを投資している。
主な推進要因はコストである。AIワークロードが推論(訓練済みモデルを実行するプロセス)へと移行するにつれて、企業はエヌビディアの汎用GPUが常に最も経済的な選択肢ではないことに気づいている。例えば、グーグルが目的別に構築したテンソル処理ユニット(TPU)は、エヌビディアの同等サーバーと比較して、総所有コストが30~44%低いと報じられている。このトレンドに対する市場の感度は非常に高く、メタがグーグルのTPUを検討しているという報道は、単一の取引セッションでエヌビディアの時価総額から約2500億ドルを消し去った。
2030年までにAI支出の75%を推論ワークロードが牽引
カスタムチップへの戦略的転換は、人工知能の経済性の変化と直接的に結びついている。バンク・オブ・アメリカのアナリストによると、AI推論は、現在データセンターのAI支出の約50%を占める割合から、2030年までに75%に拡大すると予想されている。アリババと米国の同業他社が提供する目的別に構築されたチップは、この高成長セグメントの性能とコストを最適化するために明確に設計されている。
このトレンドは、エヌビディアの台頭を促した「単一チップ万能」モデルに対する根本的な挑戦となる。エヌビディアは製品ラインを多様化することで対応しているものの、競争環境は急速に細分化されている。主要なクラウドプロバイダーやテクノロジー企業が現在自社製シリコンを設計している中で、訓練から大規模展開へと急速に移行する市場に対し、より安価で効率的なハードウェアを提供する競争が激化している。