米労働市場は1年超ぶりの大幅な月間増加を記録し、FRBの近期的な緩和への期待を消失させ、ドル指数は心理的節目である100の壁を突破した。
米労働市場は1年超ぶりの大幅な月間増加を記録し、FRBの近期的な緩和への期待を消失させ、ドル指数は心理的節目である100の壁を突破した。

米国は5月に17.2万人の雇用を追加し、コンセンサス予想の8.5万人を2倍以上上回った。同時に4月の雇用者数は6.4万人上方修正され17.9万人となったと、労働統計局が金曜日に発表した。
失業率は4.3%で変わらず、平均時給は前月比0.3%上昇し予想に一致。年間上昇率は3.6%から3.4%に鈍化した。この組み合わせは、雇用拡大が加速する中でも賃金主導のインフレ圧力が抑制された状態にあることを示唆している。
業種別では、医療が3.7万人増で最大、運輸・倉庫が3.0万人増、小売業が2.2万人増となった。情報技術セクターではAI主導のリストラを反映し1.3万人の減少。連邦政府の雇用は9,000人減少した。17.2万人というヘッドライン数値は、過去12カ月平均の約10.2万人を大幅に上回り、3カ月連続で伸びが加速している。
この圧倒的な結果は、6月16日の利下げ観測を粉砕し、トレーダーにFRBの「より長く高止まり」する姿勢を織り込ませる再調整を強要。このスタンスは2026年後半まで続く可能性がある。米国債利回りは急上昇し、ドル指数は数週間ぶりに100を突破。金は急落し、近期的な緩和の可能性は消え去った。
ドルが100を突破、利下げ観測崩壊
DXYは発表直後に100の節目を突破。この水準は5月初旬以来、上値を抑制していた。この動きはFRB期待の全面的な再評価を反映している:LSEGのデータによれば、フェデラルファンド先物は現在、1月までの利上げ確率を41.4%と織り込んでおり、発表前のごくわずかな確率から急上昇した。ロリー・ローガン・ダラス連銀総裁は週初め、インフレ圧力が続けば年内に利上げが必要になる可能性があると警告していたが、今回の雇用統計を受けてその見方の重みが増している。
ドル高は外国為替市場全体に波及した。ユーロ/ドルは3営業日連続で下落し、ベア派は1.16割れを狙っている。豪ドル/米ドルは0.7%下落。ドル/円は160水準を試した——この水準は4月下旬に財務省が介入に踏み切ったトリガーとなった。
金とリスク資産に圧力
金価格は4,400ドルを割り込み、ドル高と実質利回りの上昇が利回りを生まない金塊への需要を消失させた。売りはDXYが100を突破した後に加速し、一部のストラテジストは4,300ドルへの上昇局面での売りを勧めている。
ビットコインは2024年10月以来初めて6万ドルを割り込み、その後約61,200ドルに回復。タカ派的な再評価が金利敏感な暗号資産を直撃した。イーサは10%下落して1,596ドルとなり、ビットコインをアンダーパフォーム。ETH/BTC比率は年初来安値を更新した。ウォール街の主要指数も後退し、ナスダックは3%安、S&P500は1.8%安。経済の底堅さを示すポジティブなシグナルと、流動性支援が消失したというネガティブなシグナルの板挟みとなっている。
今後の展望
5月のNFPレポートは、6月16日のFOMC会合を前に政策論争をリセットした。労働市場が過熱状態にあり、賃金上昇率が急落ではなく緩やかに鈍化している中、FRBはジレンマに直面している:金利を据え置けばオーバーヒートのリスクがあり、ハト派的なシグナルを送ればインフレ期待を再燃させるリスクがある。市場は今後、今月下旬に発表される5月のCPIレポートに注目し、FRBが様子見姿勢を維持できるか、それともデータがタカ派的な方向転換を強いるかの次の手がかりを探すことになる。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。