台湾積体電路製造(TSMC)の株価は6月19日に7.23%急騰し、フィラデルフィア半導体指数(SOX)が過去最高値を更新。AIインフラ投資と画期的なApple-Intel半導体提携が相場を押し上げた。
台湾積体電路製造(TSMC)の株価は6月19日に7.23%急騰し、フィラデルフィア半導体指数(SOX)が過去最高値を更新。AIインフラ投資と画期的なApple-Intel半導体提携が相場を押し上げた。
台湾積体電路製造(TSMC)の株価は6月19日に7.23%急騰し、世界最大の受託半導体メーカーである同社の時価総額は2.45兆ドルを突破。フィラデルフィア半導体指数(SOX)が過去最高値を更新し、AIインフラ投資とApple-Intelの画期的な提携を背景とした上昇相場が続いている。
「半導体サプライチェーン全体が今、買いを集めている。AIデータセンター需要は現実のものであり、加速しているからだ」と、Edgenの半導体アナリスト、レイチェル・キム氏は指摘する。「TSMCはその支出サイクルの中心に位置している。NvidiaからAMD、Appleに至るまで、主要なAIチップはすべて同社の工場を通過する」。
TSMCの株価はこの上昇を受け、1株当たり約473ドルで取引を終了。52週間での上昇率は110%超に達した。フィラデルフィア半導体指数は6%以上上昇し過去最高値を記録。ソウル市場ではサムスン電子とSKハイニックスも史上最高値を更新した。業界データによれば、世界の半導体市場は2026年に1.5兆ドルを超える見通しで、初の1兆ドル突破はAIインフラ投資が全面的に牽引する。
この急騰は、ドナルド・トランプ大統領がAppleとIntelが提携し、米国内でチップを設計・製造すると発表した同日に起きた。Apple-Intelの提携は一見TSMCの受託事業に対する競合のように映るが、アナリストらは、この発表はTSMCの支配力への脅威ではなく、むしろ半導体需要の深さを強調するものだと指摘する。Appleは最先端プロセッサの最大顧客として引き続きTSMCを採用しており、Intelの受託事業は依然として赤字が続き、規模拡大には数年を要する。
TSMCのAI収益軌道が加速
AI需要に牽引された半導体需要におけるTSMCの中核的役割は、同社の成長ストーリーの決定的な特徴となっている。2026年第1四半期の決算では、売上高359億ドルを計上。前期比6.4%増となり、自社のガイダンスを上回った。経営陣は通年で約30%の増収見通しを再確認し、AI収益の成長率見通しを2029年までの年平均成長率(CAGR)で55%前後の「中高水準」に引き上げた。
同社は3nmや次世代の2nmプロセス技術を含む先端ノードで、依然として揺るぎないリーダーシップを維持している。TSMCの先端パッケージング技術「CoWoS(チップ・オン・ウェハー・オン・サブストレート)」は、AIサプライチェーンにおける重要なボトルネックとなっており、2027年まで生産能力が完売状態にある。さらに、米国、日本、ドイツへの新工場建設など、台湾以外への製造拠点の分散を進める戦略的措置により、地政学的リスクに対する同社の立場はさらに強化されている。
サステナブル・グロース・アドバイザーズは、2026年第1四半期の投資家向け書簡で、TSMCをグローバル成長戦略のトップ貢献銘柄に挙げ、「予想以上に強靭」なマージンを実現し、「技術リーダーシップ、強固な顧客関係、規律ある実行力」により、今後数年にわたり力強い二桁の売上高と利益成長を達成できると指摘した。
Apple-Intel提携がTSMCに与える影響
AppleとIntelの提携は、Intelの受託事業再生の観点からは重要だが、直ちにTSMCの地位を脅かすものではない。アナリストによれば、AppleはIntelの受託サービスを利用して自社設計のチップを製造するが、その対象はiPhoneやMacのプロセッサではなく、非中核的な部品である可能性が高い。この提携は当初、周辺チップが中心となり、先端プロセッサの量産開始には数年を要するとみられる。
Intelの受託事業は、アジアのサプライチェーンへの依存を減らす、米国政府の支援を受けた国内チップ製造施設として位置づけられている。トランプ政権は昨年、Intelの株式の約10%を取得し、米国内の工場建設・拡張に数十億ドルを投じている。しかし、プロセス技術で20年の先行優位を持ち、主要なAIチップ設計企業すべてと関係を築いてきたTSMCに対して、Intelが短期間で対抗するのは困難だ。
投資家にとっての計算は明確である。TSMCの株価はフォワードPER約20倍で取引されており、Nvidiaの35倍に比べ割安だ。これは、台湾に製造拠点を置くことに伴う地政学的リスク・プレミアムが織り込まれているためである。2029年までCAGR50%超というAI収益の成長見通しは、累計で数千億ドル単位の収益機会を示唆している。業界データによれば、台湾の半導体製造装置・部品メーカーは2026年1~5月に力強い増収を記録し、調査対象43社中34社が累計で前年同期比プラスとなった。
今後のリスクは、地理的な分散の実行力と、Intelの受託事業の拡大ペースである。しかし現時点では、TSMCは減速の兆しを見せない1.5兆ドル市場において不可欠なサプライヤーであり続けている。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。