S&P500とダウ・ジョーンズは相反する方向に進んでいる。AI・半導体株の売りが加速し、粘着性のインフレとドル高が重なるなか、株式市場は最高値更新と4日連続安に二分されている。
S&P500とダウ・ジョーンズは相反する方向に進んでいる。AI・半導体株の売りが加速し、粘着性のインフレとドル高が重なるなか、株式市場は最高値更新と4日連続安に二分されている。

S&P500とダウ・ジョーンズは相反する方向に進んでいる。AI・半導体株の売りが加速し、粘着性のインフレとドル高が重なるなか、株式市場は最高値更新と4日連続安に二分されている。
S&P500は0.01%安の7357.49、ダウ工業株30種平均は71.72ポイント高の5万1920.62で引け、取引時間中に史上最高値を更新した後に伸び悩んだ。ナスダック総合指数は0.46%安の2万5358.60と、4営業日続落し、2月以来の最長の下落局面となった。ダウとナスダック――一方が最高値を更新し、もう一方がウォール街で最も混み合ったトレードを巻き戻している――の二極化が、現局面の最大の特徴となっている。
「市場はAIインフラのコストをリアルタイムで再評価しており、その影響はメモリーチップからコンシューマーハードウェアに至るまで及んでいる」とXTBのリサーチディレクター、キャスリーン・ブルックス氏は指摘。「テクノロジー寄りのAI銘柄から資金が流出し、バリュー株が輝き始めている」と述べた。
S&P500の11セクター中6セクターが上昇。資本財・サービスが2.19%高でリードし、ヘルスケアと素材がそれぞれ1.49%、1.39%高となった。一方、テクノロジーとコミュニケーション・サービスが重石となり、マグニフィセント・セブン銘柄は総崩れとなった。マイクロソフトが3.5%安、アマゾン・ドット・コムが3.1%安、メタ・プラットフォームズが2.7%安、エヌビディアが1.6%安の195.74ドル。マグニフィセント・セブンETF(ラウンドヒル)は0.18%安の60.95ドルと、リーダー的役割を失った同グループの現状を如実に示した。
緩やかな下落が金曜日のギャップダウンに転じたきっかけは、オープンAIが大型上場の計画を2027年に先送りする方向で検討しており、希望する1兆ドルの評価額での需要確保に苦戦しているとの報道だった。AI関連企業が1年間攻勢を強めてきた後のこの判断は守勢と受け止められ、市場もそのように反応した。JPモルガン・チェースのデスクは前夜にリスクを警告し、公的市場からの資金調達が滞った場合のインフラ支出の持続可能性に懸念を示した。
値決めの重圧を最も体現したのは苹果(Apple)だった。同社株は6.15%急落し275.15ドルとなり、売買代金トップでナスダックを押し下げた。今週、MacBookとiPadの全ラインアップで価格を引き上げ、その理由としてAI主導のメモリー逼迫による部品コスト高騰を直接挙げた。新型MacBook Neoは599ドルから699ドルに、M3 Ultra Mac Studioは3999ドルから5299ドルに、それぞれ1300ドルの値上げとなった。
マイクロン・テクノロジーの好決算が、川下企業にとって状況をさらに悪化させた。メモリー大手の調整後1株利益は25.11ドルと、コンセンサス予想の20.78ドルを上回り、8月期の力強い見通しも示された。メモリー価格の強含みはマイクロンにとっては追い風だが、そのチップを購入する企業にとっては負担増となる。サンディスクは同じ供給逼迫を材料に急騰し、時間外取引で21.53%高の2335.00ドル。一方、苹果(Apple)の6.15%安は同一トレードの裏側を示した。
株価の二極化は、セクターローテーションを強化するクロスアセットの背景の中で展開している。VIX恐怖指数は6.88%上昇し20.19と、プロテクション購入の動きを示唆している。WTI原油は3.6%下落し1バレル=69ドルをやや上回る水準で推移、イラン紛争前以来の水準に戻った。米10年債利回りは4.5%を下回り、質への逃避需要が高まった。一方、2年債利回りは2025年2月以来の高水準を付け、粘着性インフレが織り込まれている。
金は逃避需要で0.42%上昇し1オンス=4064.80ドル、4000ドルの大台を再び回復した。暗号資産(仮想通貨)は高ベータ・テック銘柄と共に売られ、ビットコインは3.08%安の5万9294.25ドル、イーサリアムは5.10%安の1547.55ドルとなった。
ミシガン大学の6月確報消費者マインド指数は49.5と、5月の過去最低44.8から上昇し、予想の46.1を上回った。ガソリン価格の下落が消費者心理を改善した。それでも、2026年2月比では13%低く、前年同月比では19%低い水準にとどまり、長期平均の約83.8を40%以上下回っている。1年先のインフレ期待は4.8%から4.6%に低下したが、いずれも2024年の落ち着いた水準と比べれば高い水準にある。
下落はアジア市場にも波及し、日経平均は4.5%下落、韓国のKOSPIは一時8%の急落でサーキットブレーカーが発動された。ソフトバンクグループは11%以上急落、サムスン電子は8%超下落、SKハイニックスは9%超下落と、AIの資金調達を巡る不透明感がアジア全域に広がった。
今週以降の市場の試練は、バリュー株とディフェンシブ銘柄へのローテーションが、広範な下落を伴わずに持続できるかどうかだ。ダウの最高値更新は、次の資金調達ラウンドに依存しないキャッシュ創出力の高い企業に需要があることを示唆している。しかしVIXが20.19に上昇しナスダックが4日続落しているなか、AIのアンワインドが加速すれば、時価総額加重平均の指数はさらなる下落リスクにさらされ続ける。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。