中東の地政学的リスク後退による安心感を、好調な米経済指標を受けたドル高が打ち消し、英ポンドの上昇にブレーキがかかりました。
Key Takeaways:
- 英ポンドは対ドルで1.3500ドルを割り込み、それまでの上昇分を失いました。
- 予想を上回る米小売売上高を受けてドルが買われ、イラン停火による楽観論が後退しました。
- 市場は、地政学リスクの緩和と中央銀行のタカ派的な政策見通しという相反する材料の間で揺れ動いています。
中東の地政学的リスク後退による安心感を、好調な米経済指標を受けたドル高が打ち消し、英ポンドの上昇にブレーキがかかりました。
Key Takeaways:

火曜日の外国為替市場で、英ポンドは対米ドルで1.3500ドルの節目を割り込み、それまでの上昇分を失いました。予想を上回る米小売売上高の結果を受け、中東での脆弱な停火合意による当初の楽観論が打ち消された形です。一時は1.3580ドルまで上昇していたポンドは反転し、前日比0.2%安の1.3490ドルで取引されました。
「市場は現在、2つの相反する勢力に挟まれています。イラン停火によるリスクオンのムードと、堅調な米指標に裏打ちされたFRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派的なシナリオです」と、ラボバンクのシニア為替ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は指摘します。「ドル高は、まさに後者を反映したものです」
主要6通貨に対するドルの強さを示すドル指数(DXY)は0.19%上昇し、98.09となりました。この動きを支えたのは、3月の米小売売上高が前月比1.4%増となり、市場予想の1.3%増を上回ったという報告です。好調なデータを受けてFRBによる早期利下げ期待が後退し、米10年債利回りは4.31%に上昇しました。
ドルの反発は、取引序盤に市場に漂っていた慎重な楽観論をかき消しました。水曜日に期限を迎える米イラン間の2週間にわたる脆弱な停火は、当初リスク選好を強めていました。しかし、停火延長を巡る不透明感やパキスタンでの交渉結果への懸念から、投資家は警戒を解いていません。ドナルド・トランプ米大統領は停火延長に否定的な姿勢を示唆しており、イラン側も協議への参加をまだ確認していません。
地政学的動向と経済指標の乖離は、各資産クラスに鮮明に現れました。停火ニュースを受けて当初上昇していた世界株式市場は上げ幅を縮小しました。MSCIワールド・インデックスは過去最高値を更新した後、横ばいで推移しました。為替市場ではユーロも対ドルで下落し、EUR/USDは0.1%安の1.1785ドルとなりました。
もう一つのリスク感応度の高い通貨である豪ドルも、前日の反発を維持できず、AUD/USDは0.15%安の0.7165ドルに沈みました。対照的に、ニュージーランドドルは国内のインフレ率が予想を上回ったことが支援材料となり、NZD/USDは0.5910ドルまで上昇しました。
ポンドにとって、目先の焦点はFRBの次の一手となります。イングランド銀行(英中央銀行)もインフレ対応に追われていますが、GBP/USDの主導権はFRBの政策の行方が握っていると見られています。
ロンドンのある銀行の為替トレーダーは、「ポンドの命運はドルの方向に左右される。FRBがタカ派姿勢を維持する限り、ポンドが大幅に上昇するのは難しいだろう」と述べています。
市場にとっての次の重要イベントは、4月29日の連邦公開市場委員会(FOMC)です。投資家は将来の利下げ時期に関するヒントを注視することになります。それまでの間、中東の継続的な地政学的緊張がボラティリティの源泉であり続けるでしょう。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。