中国人民銀行(中央銀行)は2年以上ぶりの規模となる金準備の増加を実施し、同時に元を対ドルで弱く誘導した。同行は準備資産の多様化と輸出支援という二重の戦略を追求している。
中国人民銀行(中央銀行)は2年以上ぶりの規模となる金準備の増加を実施し、同時に元を対ドルで弱く誘導した。同行は準備資産の多様化と輸出支援という二重の戦略を追求している。

中国人民銀行(PBOC)は6月に金保有量を48万オンス増加させた。2023年10月以来の月間最大の増加幅で、スポット金が世界的金融危機以来の大きな月間下落となる11.65%急落した時期と重なった。
同行は7日付の月次データで、「48万オンス(約15トン相当)の増加により、金準備の総量は7544万ファイントロイオンスとなった」と発表した。
中国の金準備の評価額は5月末の3407億5000万ドルから6月末には3037億2000万ドルに減少し、金価格の11.65%下落を反映した。スポット金は売り浴びせの中で1オンス=4000ドルを一時下回った。米ドル高と、米連邦準備制度理事会(FRB)が高金利を維持する確率が高いとの見方が材料視された。イラン問題も、和平交渉にもかかわらずインフレが高止まりする可能性を意識させる要因となった。
今回の購入により、人民銀の金購入は20カ月連続となった。北京はドル資産への依存を減らす方針を推進している。同行はまた、同日に人民元の対ドル基準値を1ドル=6.8077元に設定し、前営業日の6.8054からやや弱くした。これは、金を地政学的な緩衝材として積み上げる一方で、輸出競争力を優先する姿勢を示唆している。
スポット金の月間下落率11.65%は2008年10月以来の大きさで、中国の金準備の簿価から370億ドルを吹き飛ばした。人民銀が1カ月でこれ以上の金を追加したのは2023年10月(74万オンス増加)が最後。当時、金は1オンス=1900ドル近辺で取引されていたが、今回の売り浴びせ前の6月は約4000ドルだった。
世界的に中央銀行による金購入が数年にわたって続いており、ロシアのドル準備への制裁や地政学的な緊張の高まりが背景にある。中国は現在3000億ドル超の金を保有しており、米国やドイツと並んで世界有数の公的金保有国となっている。
人民銀が1ドル=6.8077元と、前営業日の6.8054から微妙に弱い基準値を設定したことは、同行の為替管理における微妙なシフトを示す。オンshore人民元の取引レンジを設定する基準値は、中国の景気回復にばらつきが見られる中で、ここ数カ月政策手段として使われてきた。
より弱い基準値は、米国や欧州との貿易摩擦がくすぶる中で中国の輸出コストを引き下げる。また、通貨に過度の圧力をかけずに金融緩和の余地を広げる効果もある。オフショア人民元はこの基準値を受け、1ドル=6.82元近辺で取引された。
※この記事は情報提供を目的としており、投資助言を構成するものではありません。