主なポイント
- 中国の光チップユニコーンである曦智科技(Lightelligence)は、AI光インターコネクトの国内市場で88.3%のシェアを保持し、香港IPOを申請しました。
- 同社の2025年の売上高は70%以上増の1億600万人民元に達しましたが、13億4,000万人民元という多額の純損失を計上しました。
- この上場は投資家との買戻し契約によって推進されており、IPO完了まで24ヶ月の期限が設定されています。
主なポイント

上海を拠点とする光チップメーカーの曦智科技(Lightelligence Technology Co.)は、損失の急増や投資家からの強い圧力に直面する中、成長資金を確保するために香港証券取引所への新規株式公開(IPO)を申請しました。
同社の目論見書によると、収益の約80%が上位5社に集中しており、この極めて高い顧客依存度が大きなビジネスリスクとなっています。
申請書類によれば、曦智科技は2025年時点で中国のスケールアップ型光インターコネクト・ソリューション市場の88.3%という圧倒的なシェアを握っています。人工知能分野の需要に後押しされ、2025年の売上高は前年比70%増の1億600万人民元(1,460万ドル)に達しました。急速な成長の一方で、通期の純損失は2023年の2億7,500万人民元から13億4,000万人民元へと拡大し、主力製品の売上総利益率は14ポイント低下して35.1%となりました。
今回のIPOは、テンセントや百度(バイドゥ)などの初期投資家との買戻し条項を抱える同社にとって、時間との戦いでもあります。申請から24ヶ月以内に上場できない場合、買戻し権が復活し、発行済みの49億2,000万人民元相当の金融商品がリスクにさらされることになります。
世界的なAI機能強化の動きにより、高速データ通信への需要が急増し、従来の電子チップの物理的限界が浮き彫りになっています。曦智科技の主力製品である「スケールアップ型光インターコネクト」は、光を用いてデータを転送することでAIデータセンターのボトルネックを解消し、GPUクラスター間のより高速で効率的な通信を可能にするよう設計されています。
この需要により、2025年のスケールアップ製品の売上高は60%増加し、7,600万人民元に達しました。しかし、同期間に売上高を138.5%伸ばした源傑科技(Yuanjie Technology)など、一部の国内競合他社に比べると成長率は後塵を拝しています。
売上高は伸びているものの、収益性の確保が大きな課題となっています。同社は売上総利益率の低下について、製品の統合化やテスト、外部委託加工の増加に伴うコスト上昇が要因であるとしています。大手インターネット企業やGPUサーバーメーカーなど、少数の大口顧客への依存も価格設定への圧力となっています。2025年の上位5社の顧客向け売上総利益率はわずか23.4%でした。
今回のIPOの成否は、AIサプライチェーンにおける「高成長・多額損失」型ハードウェア企業に対する投資家の意欲を測る重要な試金石となります。香港メインボードでの上場初日の取引は、同社が財務的圧力を乗り越え、AI主導の光コンピューティング需要を収益化できる能力があるか、市場の信頼を示す重要な指標となるでしょう。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。