香港の大手デベロッパーによる力強い売上は、同地域の広範な不動産市場の低迷に対する潜在的なカウンターナラティブ(対抗言説)を提示しています。
香港の大手デベロッパーによる力強い売上は、同地域の広範な不動産市場の低迷に対する潜在的なカウンターナラティブ(対抗言説)を提示しています。

(P1) 新世界発展(NWD)の今年の売上高は200億香港ドルと、2025年比で1.7倍という好調な伸びを見せており、アナリストが同社株に警戒感を示し、中国本土の不動産セクターが危機に瀕している中でも、香港の高級不動産市場の底堅さを裏付けています。
(P2) ゴールドマン・サックスの中国株チーフ・ストラテジスト、キンガー・ラウ氏によると、中国株の見通しは明るく、A株上場企業の2023年の平均利益は17%増加すると予想されています。しかし、同銀行のアナリストは最近、セクターを巡る複雑で対照的なセンチメントを反映して、新世界発展の目標株価を引き下げました。
(P3) 同デベロッパーの年初来の契約売上高は約1,300戸に及び、前年同期の75億香港ドルから大幅に増加しました。主な要因は、MTRコーポレーションと共同開発した住宅プロジェクト「ザ・パビリオン・ファーム(柏傲莊)」の第3期で、358戸が57億香港ドル以上で販売されました。好調な売上報告にもかかわらず、新世界発展の株価は3.45%下落しました。
(P4) 投資家にとっての重要な疑問は、NWDの成功が香港のプライム住宅市場における持続的な局地的回復を意味するのか、あるいは「質への逃避」に支えられた例外的な事例に過ぎないのかという点です。この業績は、恒大集団(エバーグランデ)や碧桂園(カントリー・ガーデン)といった大手デベロッパーが清算申し立てに直面し、新築住宅販売が急落し、長年続いてきた持ち家文化が試されている中国本土とは対照的です。
中国本土の不動産セクターの苦境は広く知られています。政府が2020年にデベロッパーの過剰債務の抑制に動いて以来、市場ではデフォルト(債務不履行)の波とプロジェクトの停滞が発生し、買い手の信頼を揺るがしています。マッコーリーのエコノミストによると、2022年の新築住宅販売額は2021年のピーク時から半減し、減少傾向が続いています。雇用不安や経済全体を懸念する潜在的な買い手は住宅ローンの利用に慎重になっており、かつては国内の経済活動の約3分の1を占めていたこの分野が、経済の大きな足かせとなっています。
対照的に、新世界の業績は、香港の立地条件が良く高品質な住宅プロジェクトへの需要が依然として堅調であることを示唆しています。主要な乗り換え駅の真上に位置するパビリオン・ファームの成功は、買い手が利便性と品質にプレミアムを置いていることを強調しています。この乖離は、香港のようなティア1のグローバル・ハブが、本土に影響を及ぼしている広範なトレンドから切り離される可能性があるという、中国不動産市場の断片化を浮き彫りにしています。
好調な売上高にもかかわらず、投資家やアナリストは依然として慎重です。ゴールドマン・サックスが売上データと併せて言及した目標株価の引き下げは、収益性、利益率、あるいは将来のプロジェクト・パイプラインに対する懸念を示唆しています。この慎重な姿勢は、海外投資家が中国資産に対して抱く、より強気な一般的センチメントと並存しています。ゴールドマン・サックスによると、ストック・コネクトを通じたA株市場への純流入額は、年初来ですでに2022年の年間合計を超え、230億ドルに達しています。
中国人民銀行による銀行の預金準備率引き下げといった北京当局の支援的な政策手段は、流動性を確保し、経済成長を支えることを目的としています。米国や欧州における景気後退リスクや銀行不安を警戒するグローバル投資家は、欧米市場以外に機会を求めるようになっています。今のところ、彼らは中国本土の株式を選択的に購入する一方で、新世界発展のような好調な売上数字を持つ企業であっても、特定の不動産デベロッパーに対しては慎重な姿勢を崩さないという、二極化したアプローチをとっているようです。
この記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。