主なポイント
- Insta360の2025年の売上高は前年比74.76%増の97.4億元と過去最高を記録しましたが、純利益は6.62%減の9.29億元となりました。
- 利益の減少は、新型ドローン、ジンバルカメラ、マイクの開発に向けた研究開発(R&D)費が96.95%急増し、15.3億元に達したことが要因です。
- 同社は「Antigravity」ブランドを通じてドローン市場に参入しており、DJIの次期ジンバルカメラ「Osmo Pocket 4 Pro」と直接競合することになります。
主なポイント

Insta360(影石)は、2025年の売上高が74.76%増の97.4億元に達したと発表しました。しかし、市場リーダーであるDJIに直接挑むドローンやジンバルカメラなどの新しいハードウェアカテゴリーへの積極的な展開を資金面で支えるため、短期的な利益を犠牲にしました。
劉靖康会長は、「成熟しているように見えるカテゴリーにおいても、未充足の顧客ニーズとイノベーションの余地が十分にあると考えている」と述べ、ドローン、ジンバル、マイク市場への「後発者」としての参入を正当化しました。
研究開発費がほぼ倍増の15.3億元に達し、販売コストが103.31%増の16.8億元に急増したため、同社の純利益は6.62%減の9.29億元となりました。同社の年次報告書によると、この傾向は2026年第1四半期も続き、売上高が80%以上増の24.8億元に達した一方で、純利益は半分以下に縮小し、わずか8,500万元にとどまりました。
この大規模な支出は、主力の360度カメラ事業を超えた多角化によってInsta360を長期的な成長軌道に乗せるものですが、来年中に3つの新製品ラインを立ち上げる準備を進める中で、同社には大きな実行リスクが伴います。この戦略の成功は、確立された競合他社から市場シェアを奪えるかどうかにかかっています。
Insta360の研究開発費増加は、ドローン市場への挑戦に対する直接的な投資です。同社は「Antigravity(反重力)」ブランドのもとでドローン事業を立ち上げており、最近ではInsta360との提携による「Project ETERNAL」を発表しました。同社の発表によると、このプロジェクトは360度ドローン映像とAI駆動のガウス泼溅(Gaussian Splatting)技術を活用し、歴史的遺産の3Dデジタルアーカイブを作成することを目的としています。これは、世界初の8K 360度没入型ビデオドローンとして販売されている「Antigravity A1」の発表に続くものです。
同社はまた、新型ジンバルカメラの開発も認めており、DJIの人気モデル「Osmo Pocket」ラインとの直接対決の構えを見せています。この動きは、DJI Osmo Pocket 4 Proが6Kビデオや3〜4倍の光学ズーム機能を備え、2026年6月にリリースされるというリーク情報が流れる中で行われました。しかし、米国市場におけるDJI製品への潜在的な規制上のハードルや制限は、新規参入者にとって重要なチャンスとなる可能性があります。Insta360は、コンパクトカメラ分野のライバルとして位置づけられる「Insta360 Luna Ultra」を擁し、こうした市場の混乱に乗じる準備ができているようです。
投資家にとって、Insta360の戦略はイノベーションに対するハイリスク・ハイリターンの賭けを意味します。同社は、巨大で確立された市場に参入し、それを破壊するチャンスを得るために、短期的な収益性を犠牲にしています。最終的な成果は、新しいドローン、ジンバル、マイクのラインナップがDJIのような支配的なプレーヤーから成功裏にシェアを奪い、100%近い研究開発費の増加を正当化できるかどうかにかかっています。
この記事は情報提供のみを目的としており、投資アドバイスを構成するものではありません。