**HPはAIパイロットを本番システムへと本格移行する。**同社は6月28日、OpenAIとの戦略的提携を発表。Frontierプラットフォームを顧客体験、セキュリティ運用、ソフトウェア開発にわたり180カ国で展開する。
**HPはAIパイロットを本番システムへと本格移行する。**同社は6月28日、OpenAIとの戦略的提携を発表。Frontierプラットフォームを顧客体験、セキュリティ運用、ソフトウェア開発にわたり180カ国で展開する。

HP Inc.はAIパイロットを全社的な本番システムへと本格移行している。PC・プリンターメーカーである同社は6月28日、OpenAIとの戦略的提携を発表。Frontierプラットフォームを顧客体験、セキュリティ運用、ソフトウェア開発にわたり180カ国で展開する。
「Frontierプラットフォームの活用により、HPは店舗、パートナー、チャット、音声体験にわたってより一貫した体験を構築し、顧客やパートナーが迅速に回答を得て、日常的なワークフローを完了し、問題解決に至る道筋を提供する」と、HP Inc.の最高戦略・変革責任者であるPrakash Arunkundrum氏は述べた。
今回の提携は、2026年2月から始まった4カ月間の探索期間を経たもので、この間HPはFrontierのエージェント機能、セキュリティ機能、エンタープライズ統合をテストした。初期の成果として、1人のエンジニアが数週間で43のプロジェクトにわたる122件のプルリクエストを処理し、セキュリティチームが複数のソフトウェアバグを1日で修正。同チームはこの作業に通常最大1カ月を要したと推定している。HPはOpenAIのツールにより、セキュリティチームの容量を週82時間ほど解放できたと述べている。
HPは、FrontierをAIの統一オペレーティングレイヤーとして採用する世界初のグローバルエンタープライズの一つとなる。このプラットフォームは、価格設定、パートナーポータル、ストア、カスタマーサポートのワークフローを連携させる。HPの年間売上574億ドルの80%以上が10万以上のパートナーからなるチャネルエコシステムを通じて流れる中、これは極めて重要な動きである。Frontierはさらに、Gartnerが2026年のデジタル従業員エクスペリエンス管理ツールに関するマジック・クアドラントでリーダーに選定したHPのWorkforce Experience Platform(WXP)とも統合され、ITチームがフリートテレメトリを用いてデバイス問題を診断できるよう支援する。
HPが全社でAIをどのように展開しているか
今回の提携は、顧客・パートナー向けソリューション、WXPを通じたデバイステレメトリとレポーティング、従業員生産性ツール、ソフトウェア開発の4つの主要分野をカバーする。HPは調査やワークフロー自動化といったナレッジワークにChatGPTを活用し、Codexはソフトウェアのモダナイゼーションや並行デリバリー業務を支援する。
ハードウェア面では、HPは常時稼働の推論ワークロードに最適化された専用ハードウェアを搭載したエージェント型AIデバイス群の構築を進めていると発表した。具体的なチップパートナーや性能仕様は開示されていないが、この動きによりHPは、AI最適化PCおよびワークステーションという新興市場でDellやLenovoと競合する立場を固めることになる。HPの顧客は、PC、プリンター、コラボレーションツールを含むワークスペースを単一のWXPダッシュボードで管理する環境を構築している。
「HPは卓越したアーリーパートナーであり、OpenAIのAPIやChatGPT、Codexといったツールから得られた初期の価値を反復可能なシステムへと転換してきた」と、OpenAIの最高収益責任者であるDenise Dresser氏は述べた。「HPがFrontierのパイロットを超えて、大規模なビジネスインパクトを実現する過程に深く関与できることを嬉しく思う」
提携が投資家に意味するところ
HPが発表した2026年度第2四半期決算は、コンセンサス予想を上回った。1株当たり利益は0.86ドル(予想0.71ドル)、売上高は144億ドル(予想139.9億ドル)。株価は22.88ドルで取引されており、同社は9年連続で配当を増加、現在の利回りは5.24%である。
Frontierとの提携は、HPがAIをコストセンターではなく収益ドライバーとして将来を賭けていることを示している。HPが10万のパートナーエコシステムをAI活用のセルフサービスチャネルに転換できれば、サポートコストを削減し、パートナー主導の売上を加速させることが可能となる。しかし真の試練は、HPがエージェント型AIデバイスの出荷を開始する時期に訪れる。この市場ではDellやLenovoも同様にポジション確立を急いでいる。HPは新ハードウェアの価格や出荷時期については開示していない。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。