GameStop Corp.のライアン・コーエン最高経営責任者(CEO)は、eBay Inc.に対し560億ドルでの買収案を提示しました。同氏は買収のプロモーションとして、eBay上で自らコレクションを売却するという異例の公開キャンペーンを展開しています。この提案はeBayを1株あたり125ドルと評価しています。
コーエン氏はX(旧Twitter)への投稿で、「eBayを買うために、eBayで物を売っている」と述べました。同氏のeBayストアには、GameStopの店舗用看板やサイン入りの『Halo 3』の旗などが出品されており、購入者にはeBay取締役会への書簡のコピーが同封されます。
しかし、この買収案には大きな財務的壁が立ちはだかっています。GameStopの時価総額は約120億ドルであり、eBayの460億ドルという評価額とは大きな開きがあります。コーエン氏はTDバンクから200億ドルの負債調達を確保しており、GameStopが保有する約90億ドルの現金を充当する計画です。すでにeBay株の約5%を保有しているGameStopは、残りの資金を賄うために増資や外部資金の調達を行う可能性もあります。
このニュースを受け、市場は乱高下し懐疑的な見方が広がっています。GameStop (GME) と eBay (EBAY) の株価は当初上昇したものの、その後は不安定な動きを見せています。GameStopへの早期投資で知られる著名投資家のマイケル・バーリ氏は、買収に伴う巨額の負債を懸念し、全保有株を売却したと発表しました。
こうした公開戦術は、2021年のGameStop株急騰時に「ミーム・キング」と呼ばれたコーエン氏らしい手法です。彼のeBayページに出品された商品には合計8万7,000ドル以上の入札があり、買収劇は一種のパフォーマンスの様相を呈しています。同氏の目的は、コストを大幅に削減し、合併後の会社を「Amazonの正当な競合相手」に成長させることです。
取引が成立すれば、コーエン氏が統合後の企業のCEOに就任します。同氏はこれまで、過激なダウンサイジングや店舗閉鎖、人員削減を通じて、GameStopを年間3億8,100万ドルの赤字から4億1,840万ドルの黒字へと転換させた実績があります。一方で、取締役会が提案を受け入れない場合は、株主から直接支持を取り付ける委任状争奪戦(プロキシ・ファイト)に発展させる構えも見せています。
今回の買収提案はコーエン氏にとって大きな賭けです。同氏の報酬パッケージは、GameStopが高い評価額目標を達成した場合、最大350億ドルが支払われる内容となっています。eBayへの買収について、同氏は以前、「最終的に天才か、あるいは完全に愚か者のどちらかになる」計画だと語っていました。
買収の成否は、主要な投資家をすでに困惑させている高負債戦略について、コーエン氏がいかに株主を説得できるかにかかっています。次の焦点はeBay取締役会による正式な回答であり、それによって買収が進むか、あるいは経営権を巡る激しい争いに発展するかが決まることになります。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。