主なポイント:
- スペインの香水・ファッション大手プーチとの合併交渉を認めた後、エスティ ローダーの株価は16%急落しました。
- 最大500億ドル規模と推定されるこの潜在的な取引が、現在進行中の重要な再建計画「ビューティー・リイマジンド」の妨げになることを投資家は懸念しています。
- プーチ一族は、統合後の会社において2つの取締役席の確保と、マドリードおよびニューヨークでの二重上場を要求していると報じられています。
主なポイント:

美容業界における巨大な合併計画が投資家を動揺させています。野心的なこの取引は、エスティ ローダーの脆弱な回復を脅かす大きな賭けであると見なされています。
米国の化粧品大手エスティ ローダーは、スペインの香水・ファッション大手プーチとの合併に向けた交渉を認めて以来、株価が16%下落しました。この急落は、同社史上最大となる可能性のある買収が、現在進行中の重要な再建計画を妨げる不適切なタイミングでの「注意散漫」になるのではないかという投資家の不安を反映しています。
「これは企業にとって、必要なスキンケアの準備をせずに顔全体にメイクを施すようなものだ」とウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニスト、キャロル・ライアン氏は記しています。「エスティ ローダーは、既存事業の立て直しだけで手一杯であり、史上最大の買収に取り組む余裕などまったくないはずだ」
提案されている取引が成立すれば、推定価値500億ドルの美容大手が誕生することになります。これには、エスティ ローダーのスキンケアとメイクアップの強みと、バイレード(Byredo)やジャン=ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)などのブランドを擁するプーチの高成長な高級香水ポートフォリオが統合されます。ジェフリーズのアナリスト報告書は、現金20%、新会社の株式80%という取引構造を提案しました。しかし、市場の反応によりエスティ ローダーの時価総額から約50億ドルが消失し、潜在的な合意の財務条件はさらに複雑になっています。
今回の動きは、同社が変革計画「ビューティー・リイマジンド」の2年目というデリケートな時期に重なりました。大幅な人員削減を伴うこの計画は、4四半期連続の減収を経て、2025年後半にようやく業績が成長に転じ、成果が出始めたばかりでした。投資家は、プーチとの統合に伴う複雑さが、この進展を頓挫させるのではないかと危惧しています。
エスティ ローダーの株価は過去5年間で70%以上下落しており、営業利益率は2022年度の20%から昨年度にはわずか8%へと悪化しています。同社は、成長が鈍化する中国市場やトラベルリテールへの過度な依存に苦しんできました。プーチとの提携は、特に急速に成長している高級香水部門において地理的・カテゴリー的な構成を改善するメリットがあるものの、タイミングが問題視されています。
また、同社はTikTok Shopなどの新しい販売チャネルへの適応が遅いと批判されており、インフルエンサー主導のブランドにシェアを奪われています。「流通体制を修正するためには、もっと時間が必要だ」とライアン氏は指摘しています。同社のM&A実績も精査の対象となっており、2023年に28億ドルで買収したトム・フォード(Tom Ford)について、最近7億7,300万ドルの減損損失を計上したばかりです。
交渉における主な障害の一つは、プーチ一族の要求です。報道によると、同一族は統合後の新会社の取締役会において、会長のマルク・プーチ・グアシュ氏と副会長のマヌエル・プーチ・ロチャ氏のために少なくとも2つの議席を確保することを主張しています。さらに、新会社の株式をニューヨークとマドリードの両証券取引所に「二重上場」することも求めています。
これは、同社における複雑なガバナンスの力学を浮き彫りにしています。両社とも創業一族が支配する企業であり、創業メンバーは特別議決権を通じて大きな権力を行使しています。ローダー家は34%未満の株式で84%の議決権を支配しており、プーチ家は自社の議決権の約93%を保持しています。このような構造は、長期的なブランド管理を促進すると見なされる一方で、外部の株主が「誤った判断」と考える取引を阻止する力がほとんどないことも意味しています。
この記事は情報提供のみを目的としており、投資アドバイスを構成するものではありません。