2026年6月、暗号資産(仮想通貨)関連のハッキング被害は40件で合計7590万ドルに上り、このうちヒューマニティ・プロトコル(Humanity Protocol)への3100万ドルの攻撃だけで月間総額の40%以上を占めた。
2026年6月、暗号資産(仮想通貨)関連のハッキング被害は40件で合計7590万ドルに上り、このうちヒューマニティ・プロトコル(Humanity Protocol)への3100万ドルの攻撃だけで月間総額の40%以上を占めた。

ブロックチェーン分析企業がまとめたセキュリティ報告書によると、2026年6月の暗号資産(仮想通貨)ハッキング被害は40件で合計7590万ドルに上り、本人確認プラットフォーム「ヒューマニティ・プロトコル(Humanity Protocol)」への3100万ドルの不正流出が月間最大だった。
「攻撃の頻度は、業界が新たなプロトコルを保護する能力を上回るペースで拡大している。主要プロトコルのみが悪用しづらくなっており、攻撃者は攻撃対象を広げざるを得なくなっている」と、クラウドソーシング型セキュリティプラットフォーム「ハッケンプルーフ(HackenProof)」のCEOを務めるドミトロ・マトヴィイブ氏は指摘した。
暗号資産データプラットフォーム「クリプトランド(CryptoRank)」のデータによると、6月の被害額により、年初からの暗号資産ハッキングによる損失は121件で約9億4200万ドルに達した。2026年第2四半期は、83件の不正流出が発生し、件数ベースでは史上最もハッキングが多かった四半期となった。ただし、盗まれた総額は7億5500万ドルで、史上最悪の四半期だった2020年第4四半期の35億6000万ドルを大幅に下回った。
持続的なセキュリティの脆弱性は、すでに打撃を受けている分散型金融(DeFi)セクターにさらなる圧力をかけている。クリプランドのデータによると、4月18日に発生した2億9300万ドルのケルプDAO(Kelp DAO)への攻撃のような注目度の高い事件を受け、ユーザーが預け入れを引き揚げた結果、DeFiプロトコル全体のロック済み総額(TVL)は第2四半期に約300億ドル減少した。この攻撃により、アーヴ(Aave)からのみ4日間で150億ドルの引き出しが発生した。
暗号資産分析会社「ナンセン(Nansen)」のシニアリサーチアナリスト、ニコライ・ソンデルガード氏によると、ケルプDAOのインシデントは、通常なら数週間かかるDeFiからの資金流出を数日に凝縮した。同氏は、この攻撃後の4日間でアーヴのユーザーは約150億ドルの預け入れを引き出したと述べた。
こうした累積的な影響は、暗号資産全体の資本配分を変容させている。SoSoValueのデータによると、ビットコイン上場投資信託(ETF)は6月に45億ドルの純流出を記録し、2024年1月の商品ローンチ以来、月間で最悪の数字となった。ブラックロック(BlackRock)の「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust)」だけで35億5000万ドルが流出し、カテゴリー全体の償還額の約79%を占めた。ビットコインは月間で20.48%下落し、2022年6月以来の大幅な月間下落率となった。
資本は流出せず、循環する
しかし、すべてのカテゴリーで資金流出が起きたわけではない。XRP ETFは6月に5946万ドルの純流入を記録し、ハイパーリキッド(Hyperliquid)ETFは1億6105万ドルの流入でグループを牽引した。これは、資本が暗号資産市場から完全に退出するのではなく、市場内で循環していることを示唆している。新しいアルトコイン商品は、2大カテゴリーが継続的な償還に見舞われる中でも、新たな資金を引き寄せた。
この循環のダイナミクスはDeFiにも及び得る。ビットゲット・ウォレット(Bitget Wallet)の最高執行責任者(COO)であるアルビン・カン氏は、サイバー攻撃によってユーザーはより慎重になっているが、同時に資本が脆弱なDeFiプロトコルからより強固な体制と明確なイールドモデルを持つプロトコルへと移動し、業界の統合につながる可能性があると述べた。
一方、米証券取引委員会(SEC)は、より広範な規制アプローチを緩和しているものの、暗号資産関連の詐欺事件の追及を継続している。6月16日、ニューヨーク連邦裁判所は「ナノビット(NanoBit)」詐欺事件に関連する事業体に対し、540万ドルの罰金と不正利益の吐き出しを命じる最終判決を下した。SECは、ナノビットの運営者らがWhatsAppグループで金融専門家を装い、投資家を偽の取引プラットフォームに資金を預けさせるように騙したと主張している。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。