重要ポイント:
- 中国国家統計局は5月経済を「おおむね安定」と評価する一方、需給ギャップの拡大を指摘
- 同局は逆周期調整、内需拡大、雇用安定化を約束
- 市場は6月20日の人民銀行LPR決定を控え、具体的な政策詳細を待つ
重要ポイント:

中国経済は拡大しているが、供給と需要のギャップは拡大しており、北京に新たな刺激策を打ち出させる要因となっている。
国家統計局は16日、5月の中国経済は「おおむね安定した」ペースで成長したと発表したが、同局は力強い産業供給と低迷する消費者需要の乖離が拡大し、企業収益を圧迫し、労働市場を脅かしていることを認めた。国家統計局は、逆周期・越周期調整の強化、内需拡大、雇用・企業・市場・期待の安定化を約束した。これらの文言は、今後数カ月の追加的な政策緩和を示唆するものだ。
「外部環境はより複雑で変動が激しくなっている一方、国内では供給が強く需要が弱いという矛盾がより顕著になり、一部の企業はより大きな経営圧力に直面している」と国家統計局は声明で述べた。同局は、安定した経済回復の基盤はまだ固める必要があると付け加えた。
この声明は、中国のパンデミック後の回復が3年目に入り、勢いが不均一な中で発表された。工業生産は6カ月連続で小売売上高を上回っており、この乖離は生産者価格を圧迫し、メーカーのマージンを縮小させている。国家統計局が需給不均衡についてこれほど明確な表現を用いたのは、2023年半ば以来であり、その後に中国人民銀行による利下げが続き、その後6カ月間で1年物最優遇貸出金利(LPR)は合計30ベーシスポイント引き下げられた。
グローバル投資家にとっての課題
中国の政策対応が国境を越えて重要である理由は、同国が世界のGDP成長の約3分の1を占めているからだ。持続的な需要不足は銅から原油に至るまでの商品の輸入を減少させる一方、信頼性のある刺激策パッケージは新興国市場の株式とオフショア人民元を押し上げる可能性がある。MSCI新興国市場指数は2026年第1四半期に小幅に下落し、中国エクスポージャーのあるファンドは複数年ぶりの低水準に近いバリュエーションで取引されている。Touchstone Sands Capital Emerging Markets Growth Fundは、第1四半期にバリュエーション倍率が18倍から14倍にまで圧縮され、2012年以来のベンチマークに対するプレミアムの最低水準となった。
国家統計局が言及した「新たな質の生産力」—中国指導部が作り出した、ハイテク製造業、AIインフラ、グリーンエネルギーを指す用語—は、新たな支出が従来の不動産やインフラではなく、先進産業を対象とすることを示唆している。これは、不動産不況が5年目に入る中で成長を鈍化させてきた不動産から離れる政策傾向の継続を示すものだ。
市場の反応と今後の道筋
中国株と人民元はこの声明に対して限定的な即時反応を示し、CSI300指数はほぼ横ばい、USD/CNHは7.25近辺で推移した。トレーダーらは具体的な政策詳細を待っている。中国人民銀行の次の政策決定は6月20日に予定されており、1年物と5年物のLPRが発表される。1年物LPRは現在、2月の25ベーシスポイントの引き下げ後、3.10%となっている。一方、住宅ローンの基準金利である5年物LPRは3.60%だ。
エコノミストらは、中国人民銀行が今月は金利を据え置きつつ、預金準備率の引き下げやリレンディング・ファシリティなどの量的ツールを活用して、対象セクターへの信用を誘導すると予想している。加重平均預金準備率は、1月の最後の50ベーシスポイント引き下げ後、約6.6%となっており、さらなる引き下げの余地を残している。金利スワップデータによれば、市場は今後12カ月間で約20ベーシスポイントの追加LPR引き下げを織り込んでいる。
国家統計局が期待の安定化を強調したことは、米中貿易摩擦と世界経済の減速を背景に、特に注目に値する。同局の次の月次データ発表(6月の工業生産、小売売上高、固定資産投資を対象)は7月15日に予定されており、政策シグナルが勢いの改善につながるかどうかの最初の試金石となる。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。