日銀の1%への利上げ観測が強まる中、円ショートが9年ぶりの高水準に達しており、キャリートレードの巻き戻しが全球市場に波紋を広げる舞台が整いつつある。
日銀の1%への利上げ観測が強まる中、円ショートが9年ぶりの高水準に達しており、キャリートレードの巻き戻しが全球市場に波紋を広げる舞台が整いつつある。

日銀は火曜日に政策金利を1%に引き上げる見通しだ。これは1995年以来の高水準となる。投機的な円ショートが11万5000枚と9年ぶりの高水準に達し、世界的なリスク資産を支えてきたキャリートレードの激しい巻き戻しが懸念されている。
「円における投機的なショートポジションの大量積み上がりは、日銀がより積極的な引き締めを示唆した場合、急激なショートスクイーズのリスクを高める」と、元日銀チーフエコノミストの亀田製作氏は指摘する。
12月以来初めてとなる今回の決定は、中東情勢を受けたエネルギーコスト上昇を背景に、5月の日本の卸売物価が前年比6.3%と3年ぶりの高水準に急騰する中で行われた。円は1ドル=160円近辺で推移しており、この水準は日本財務省が4月に過去最高の11兆7000億円(731億2000万ドル)の介入を実施する契機となった。市場は年内にあと1回の追加利上げを織り込んでいる。
影響は日本国内にとどまらない。低金利の円を借りて高利回りの海外資産に投資するキャリートレードの急速な巻き戻しと円高は、世界の株式、債券、暗号資産(仮想通貨)にわたってボラティリティを引き起こす可能性がある。この構図は2024年7月を彷彿とさせる。当時、日銀の利上げを受けてビットコインは約6万5000ドルから1週間で5万ドルへと急落した。
植田総裁の不在が不確実性を増す
植田和男総裁は肝嚢胞(肝臓のう胞)の感染症治療のため入院し、今回の会合を欠席する見通しで、副総裁の内田真一氏が記者会見を担当する。内田副総裁自身も先月退院したばかりだが、日銀の継続的な利上げ方針を改めて表明しつつ、タイミングに関する明確なガイダンスは避けるとみられると亀田氏は指摘する。日銀の残り8人の政策委員は大半が利上げ支持とみられ、うち3人は4月会合で1%への引き上げを提案していた。
金曜日に合意されたイラン和平協定は原油価格を急落させ、世界の株式を急騰させており、日銀のコミュニケーションを複雑にしている。エネルギーコストの低下はインフレ圧力を緩和し、追加引き締めの緊急性を低下させる可能性がある。「原油価格の下落を踏まえると、インフレ加速のリスクは弱まる可能性がある」と大和証券のチーフストラテジスト、菅原正仁氏は述べる。「市場参加者は日銀のタカ派的な姿勢に備えてきたが、会合後のコメントは想定ほどタカ派的ではないかもしれない。」
クロスアセットの波及経路
日銀の決定は、FRB(米連邦準備制度理事会)、BOE(イングランド銀行)、RBA(オーストラリア準備銀行)、日銀という4つの主要中央銀行がすべて政策会合を開く、稀な週に行われる。ケビン・ウォーシュ新議長が最初のFOMC(連邦公開市場委員会)を主導するFRBは、2023年7月以来変更のない5.25%〜5.5%で金利を据え置くとの見方が広がっている。BOEも据え置きが予想される。ブラジル中央銀行は唯一利下げに動き、政策金利を14.5%から引き下げるとみられる。
為替市場にとっての主要な変数は、内田副総裁のトーンが市場の追加引き締め期待を満たすものとなるかどうかだ。予想通りの利上げを実施しながらも慎重な姿勢を示せば、円売り勢力が勢いづき、ドル円は161円台へと再び上昇する可能性がある。これは追加介入を招きかねない水準だ。内田氏がよりタカ派的なトーンを示せば、円は急騰し、過去最大のショートポジションが巻き戻され、リスク資産に衝撃が走るだろう。
日銀が同様にタカ派的な文言を用いたのは2024年7月が最後で、その時は利上げと追加引き締めを示唆した。円は急騰し、日経平均は2週間で12%下落、ビットコインは23%の価値下落を記録した。当時よりも円ショートがさらに積み上がっている現在、その再現、あるいはそれ以上の事態が起こる可能性は現実味を帯びている。
※本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。