人工知能の人材争奪戦で大物の移籍が判明。OpenAIの創設メンバーの一人が、最大のライバルであるアンソロピックに加わりました。
人工知能の人材争奪戦で大物の移籍が判明。OpenAIの創設メンバーの一人が、最大のライバルであるアンソロピックに加わりました。

(ブルームバーグ)-- OpenAIの創設メンバーであり、テスラ(Tesla Inc.)の元AI責任者であるアンドレイ・カーパシー(Andrej Karpathy)氏が、ライバルのAIスタートアップ企業アンソロピック(Anthropic)に加わった。この動きは、エリート研究人材を巡る激しい争奪戦をさらに加速させるものだ。今回の採用は、より高性能なモデルの開発と、それを構築できる一握りの研究者の確保という2つの重要な局面でOpenAIと戦うアンソロピックの技術陣を強化することになる。
「アンソロピックに入社しました」と、カーパシー氏は火曜日、ソーシャルメディアプラットフォームのXで発表した。「LLM(大規模言語モデル)の最前線における今後数年間は、特に重要な形成期になると考えています。こちらのチームに加わり、研究開発に戻れることを非常に楽しみにしています」
アンソロピックの広報担当者は、カーパシー氏が同社のモデル「Claude(クロード)」に中核的な能力を与える大規模なトレーニング実行を担当するプリトレーニング(事前学習)チームに加わることを認めた。同社には、最近イーロン・マスク氏のxAIを去り、アンソロピックのインフラ担当として加わったロス・ノルディーン(Ross Nordeen)氏など、著名な人材の移籍が相次いでいる。カーパシー氏の経歴には、テスラのオートパイロット向けコンピュータビジョンチームの統括や、2024年2月に退社するまでのOpenAIでの2度目の勤務が含まれる。
この動きは、OpenAIのChatGPTやアンソロピックのClaudeといったモデルの性能が、制作者の専門知識に直結する生成AIレースにおいて、人的資本がいかに重要な役割を果たしているかを浮き彫りにしている。グーグルやアマゾンなどの支援者から数十億ドルを調達したアンソロピックにとって、カーパシー氏のような有能な研究者を獲得することは、研究開発を大幅に加速させ、マイクロソフトが支援するOpenAIとの差を縮める可能性を秘めた戦略的な成功といえる。
トップクラスのAI研究者の市場は、ハイステークスなゼロサムゲームだ。最先端モデルをトレーニングするための特定の経験を持つ科学者は世界に100人もいないと見られており、カーパシー氏のような人物は極めて貴重な資産となる。彼がOpenAIへの復帰や他の主要ラボへの加入ではなくアンソロピックを選んだことは、同社が主要な挑戦者として築き上げてきた勢いを際立たせている。
この人材戦争により、企業は給与だけでなく、計算リソースへのアクセス、研究の自由、そしてミッション(使命)においても競い合うことを余儀なくされている。アンソロピックは、AIの安全性を重視する元OpenAI従業員によって設立されており、このミッションは、テクノロジーの急速で野放図な進歩を懸念する研究者たちを引き付け続けている。
カーパシー氏は、深い技術的専門知識と複雑な概念を解説する能力で知られる、AIコミュニティの著名な人物だ。スタンフォード大学でAIの権威フェイフェイ・リー(Fei-Fei Li)氏に師事した後、OpenAIの最初期の従業員の一人となった。テスラの自動運転AIを構築するために一度離れた後、2023年にOpenAIに復帰したが、その後自身のスタートアップであるユーレカ・ラボ(Eureka Labs)を通じた教育プロジェクトに専念するために再び退社していた。彼はまた、大規模言語モデルを用いたより直感的なソフトウェア開発のアプローチを表現するために「バイブ・コーディング(vibe coding)」という言葉も生み出している。
彼が主要な産業ラボ、特にアンソロピックに戻ったことは、AI開発の絶対的な最前線で働くことの魅力が依然として強力であることを示唆している。マイクロソフトのAzureやグーグルのCloudなど、この分野に数十億ドルを投じている投資家やクラウドプラットフォームにとって、こうした人材の移動は、将来の画期的な進歩とそれに伴う収益がどこから生まれる可能性が高いかを示す先行指標となる。アンソロピックは非上場企業のままだが、技術チームの強力さは、約184億ドルとされる推定評価額や、OpenAIと企業向け契約を争う能力における重要な要因となっている。
この記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。